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ブラジル長期滞在の記 #6/15
内陸へ出張
海外渡航、1967年
サンパウロ州内陸へ出張、初めての飛行体験。

1967年 筆者撮影
勤めていた設計事務所社長の事前の指示に従い、朝早く、サンパウロの市内にある軍用チエテ飛行場に到着した。
出張の目的は、サンパウロ州から500kmほど内陸にある牧場(ファゼンダ)に直接飛び、敷地の検分を行い、サンパウロに戻ってから、大きな邸宅を設計する準備を行うことであった。
セスナ機がすでに待機していて、これが筆者の初めての飛行経験であり、心が躍った。
下;CESNA 172 待機中.

1967年 筆者撮影
飛行高度が低いので、けもの道などを空中から観察出来る。巡航であった。そのうち途中で暗雲が、たちこめてきた。パイロットは飛行高度の変更を行った。セスナ機はらせん状に急降下を行い、積乱雲の下の風の強い領域に入っていった。目視飛行なので、雲の上を飛び続け、その後で積乱雲の下に突き抜けることを回避しなければならないことを、パイロットから教わった

1967年 筆者撮影

空からのサンパウロ州内陸の地方都市。
幾つかのこれらの似たような街を見ながら。

1967年 筆者撮影
ファゼンダ農場内には専用滑走路があった
サンパウロ州内陸の大規模農牧場、ファゼンダに到着。
大規模なブラジルの農牧場には、私有地のなかに、こういった小型飛行機が着陸できる滑走路が設けられている。
順調に高度を下げ、ランデイングも順調に。
タッチダウンの時、1mほどに伸び放題の雑草がセスナの機体に音を立ててピチピチと打ち付けた。緊張の瞬間だったが、無事のランディングとなった。これらの私設飛行場は、牧場主相互間で牛の種付け、精子を空輸するためにも、使われていることを教わった。

ファゼンダ農場の入り口。
ここから、施設の建物までは歩くには遠すぎる。
この大私有地のオーナーは弁護士であった。彼の依頼は、20室の寝室と作業所新築の設計であった。
事務所の彼の執務机のうしろの壁に農場の地図があり、それをつぶさにながめていた。
敷地内には川が網の目のように流れており、この想像をこえる私有地の面積を理解することとなった。日本で言うと地方の自治体1個分の大きさに相当するであろう。


この大規模私有地には、農業・牧畜労働従事者家族のために自給自足が成り立っている。牛の賭殺場、パン、チーズ、バター、ジャムの生産設備があり、外部へ出荷し、内部でも自給自足の消費をする。さらに住居、学校、病院、教会も自前でもつ。学校の先生も専従者が居て、保安も自前で行い、私有地内では警察権、司法権すらも持つ。
サンパウロ州地図。訪れたファゼンダ農場赤丸との位置関係。この青丸位置以遠に日系入植者の農園が多い。

サンパウロ州内陸への起点になるターミナル駅ルス駅。今回の出張の帰りは列車でこの駅に戻った。日本移民はこの駅から、戦前に奥地の開拓地に集団でむかった。

サンパウロのターミナル駅ルス駅
1967年 筆者撮影

サンパウロのターミナル駅ルス駅
1967年 筆者撮影
2回目の飛行機による出張はDC3。そしてエンジントラブル。
不時着に︕
今回二度目の空による出張は、ボリビアとの国境都市、マット・グロッソ州コルンバ市のショッピングセンターの設計の依頼を受けての事前調査であった。

ブラジルヴァリグ航空のDC3

マット・グロッソ州コルンバ市
DC3のコクピット。写真を許可してくれた。
テロなどの恐怖がない平和な時代であった。

緊急着陸中 筆者撮影
このDC3機は、片方のプロペラが停止の状態になったので、緊急着陸中です。写真左上はサンパウロから500キロのアラサツーバ空港。目的地のコルンバ市までは、まだ半分未満の行程だった。
そして無事に緊急着陸
不時着したアラサツーバ空港の待合室で、今回のまれなる体験をネタに同乗者と雑談をしていると、臨時便のアナウンスがあった。
サンパウロからカラベル機が手配され、目的地までのつなぎの便となるとのことであった。
カラベル機は、フランスが当時開発製造した、新型の短中距離向けで、ジェットエンジンを胴体の後ろに設けたものであった。滑走路の短い空港にその威力を発揮し、安定した急降下も得意な機種で、当時1960年代にあっては、他の機種と比べ、とても快適な飛行経験であった。

そしてカラベル機がやってきた。CARAVELLE 1 1959
コルンバ市は国境の町である。ブラジルとボリビアの境には、パラナ川の大河が流れている。その上流は世界自然遺産、ワニがウヨウヨの、大湿地原のパンタナルである。仕事を終えて川岸に行き、川魚を収穫した漁師と写真を撮った。左から2人目は、サンパウロから同行の日系2世の建築構造設計のエンジニアでいろいろおせわになった。

ブラジル奥地マットグロッソ州コルンバ市 パラナ川のほとり
筆者撮影1967年