バリ島散策 #6/10 建築素材-1

バリ島散策 #6/10
建築素材 #1

地産地消

バリ島の建築素材について観察をすると、驚くことに、21世紀になった現在でも地場の建築素材にこだわって、それを長年にわたり使い続けていることだ。

これら天然資材のほとんどは、一部インドネシアの他の島から持ち込む場合を除いて、この5.800km2内の島から調達される。遠隔地から運搬し輸送することによって生じるCO2排出量を低く抑えることが出来ている。

そのため、いわゆるカーボンフートプリントが、世界の他の国や地域と比較して、低く抑えうる典型的な事例ということが出来よう。

1 レンガ材

日干し煉瓦のブリック;

バリ島では、手作りで生産される日干し赤レンガを伝統建築の壁に使用するのが一般的である。この建築素材は、バリ島に豊富にある。

筆者撮影

日干し煉瓦は建物外壁や塀に使われる。 レンガに水分を浸透させ、各々レンガ相互を丹念に擦り合わせ、ブリックから出てくる泥土状の部分を接着剤とし、積み上げ各々のブリックを一体化させ壁を造る。

筆者撮影

筆者撮影

この場合、セメントを接着財として使用しない。セメント・モルタル材を仕上げに使用する必要がなく、壁の素材自体のみで仕上げに一体感を出すことが出る。
つまり、素材そのものが仕上げ材ともなるのである。

筆者撮影

建物が完成し年月を経ると、赤レンガの表面に苔が自生し、鉱物と植物が一体化する。(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

筆者撮影

筆者撮影

植物が生まれ、建築が消え植物が優勢となる。

筆者撮影

また、日干し赤レンガを段状に積み上げて傾斜をとり、屋根材としても使うことが出来る。その上に植物が居場所を見つけ生成し、酸素を放出する。

筆者撮影

日干し赤レンガは保水効果が大きいため、寄生植物の生成に良い。そして植物と共生する建築が完成となる。

筆者撮影

2 石材

① BATU KALI (River Stone)の砕石ブロック

建物基礎部分や擁壁、外壁や塀の基礎など広範囲に使用される。
みな手掘りである。

筆者撮影

土工事、基礎工事は、機械によらずすべて手作業である。電力やジーゼル燃料は最小限使用で工事を行なう。

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② アンデシット石(ANDESITE STONE)

安山岩の一種

アンデシットの名称は、アンデス山脈で発見された火山性岩石の名前が起源である。、大理石に次ぐ固い石である。大理石は、太陽光による風化劣化するため、建物の外壁、外部の床には適さない。そのためアンデシット石は、御影石ほどの硬さを必要としない遊歩道の舗装などに適している。

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アンデシットは、表面を研磨すると下写真の様な濃淡、発色のバリエーションがある。外部の床面など、雰囲気を作り出すための用途に使い勝手が良い。

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アンデシット用途例。御影石では、この様なやわらかいタッチを出すことが難しい。バリ島リゾートホテルの入り口。

(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

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アンデシット石の用途例。凹凸を付けたりして、立体的なテクスチャーを作り出し、壁面にやわらかいタッチを表現することが出来る。

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③ パラス石(グレー色)

凝灰岩の一種。火山爆発により生じた火山灰の堆積したものが、固まって出来た岩石。バリ島では、山からの水流が大地を削り、川底に露出した泥岩状の石を切り出す。川底5m程の深さから、人力で切り出しているのを見たことがある。そしてさらに、人力により地表まで担ぎ上げる。この泥岩石は、木材や氷のように、のこぎりで望むサイズに切ることができる。建物外壁や塀に使われる。

パラス石のブロック 筆者撮影

ブロックを積み上げた後、表面を金属のタワシのようなものを使い、人の手で引っかき、テクスチャーを生じさせ、目に優しく写るように加工する。

パラス石の柱、壁 筆者撮影

パラス石の柱、壁 筆者撮影

パラス石は、細工がしやすいので、この様な表現が可能である。

筆者撮影

細工がしやすいパラス石で作られたお面の数々。失敗作や売れ残りは、壁の素材の一部となり再利用される。

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④ パラス石(白色)

石灰岩の一種

海底に運ばれ堆積した砂、火山灰、粘土、サンゴ、貝殻などが積もった部分が隆起した岩山から切り出された素材。加工が容易でバリ島では、壁の装飾素材や彫刻作品に使われる。

筆者撮影

筆者撮影

白色のパラス石をひとつひとつ成型し、隙間無く積み上げ装飾壁をつくる。

筆者撮影

筆者撮影

職人が一つずつ不等辺多角形に削り、それぞれを組み合わせてテクスチャーの豊かな壁面を作り出す。

バリ島ならではの伝統的な工法による手仕事である。(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

筆者撮影

筆者撮影

漢字が書きなれないバリ人の職工が、見事にホテルのスパ施設の看板字体「涅槃」を彫り上げる。(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

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バリ島ウブド近郊には、沢山の石細工の工房がある。そこには数人の熟練石工が、常に石像や石版彫刻造りに専念している。
インドの古典ラマヤナ物語をモチーフにした石版彫刻。

筆者撮影

筆者撮影

こちらは自然をモチーフにした見事な蓮の唐草模様 !

筆者撮影

 バトゥセライ、砂岩の一種、外壁装飾用。

不定形の天然石を、削り込み、隙間の出ない様にはめ込み化粧壁を作る。この石はかなり硬めであるが、一個ずつ不定形の石を隙間の無いように細工する能力はバリ島石工の誇りである。(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

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⑥ 火山性軽石

バリ島は火山の島である。山裾で集められた火山性軽石を、コンクリートルーフの下地床の上に使用し、水はけを良くする。その上に植栽を施し、グリーンルーフを造成するために打ってつけの自然素材である。

筆者撮影

火山性軽石の上に生成した「グリーンルーフ」「グリーンアーキテクチャー」。建築活動によって失われた元の地面の植栽を改めて、屋根の上に移し戻すという試みである。
(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

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⑦ その他の石材

上流の川から集められた丸石を一個一個つみあげる。丸石の隙間が無いよう細心の注意が必要。(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

筆者撮影

筆者撮影

植物にも居場所を与えると、しばらくして繁茂し花が咲く。それが石壁をやわらかくし、お互いに共存する光景ができあがる。

筆者撮影

無数の天然丸石が、一個ずつ手作業で壁に埋め込まれる。とても忍耐がいる仕事である。

筆者撮影

筆者撮影

⑧ 石材廃棄材のリサイクル

建築行為で排出される廃材には様々な種類がある。廃棄材を最小限に抑えることを目的として、数種類の石材の削りカスを集めてランドスケープ外構に使用。目地にセメントを使わないので石の隙間から植物が自然に生成する。
(筆者設計のリゾートホテル・ウブッドグリーン)

筆者撮影

3種類の石材の削りカスを一個ずつ積み上げた擁壁。

筆者撮影

時を経て、自然の営みにより、石の擁壁『グレーウオール」が植物の壁『グリーンウオール」に変化する。

筆者撮影

写真、筆者撮影

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